追悼
馬名 タケノベルベット { パドスール
ダケノダンサー
馬主 土佐黒潮牧場    
平成26年2月28日昇天 享年25才

 多くの人々に、強烈な感動と思い出を残し・・・・・・ベルベットさんは、私共の願いも空しく天へ・・・旅立ってしまいました。2月26日朝、寝起きの際に足元をひねったか・・・左後肢を骨折・・・予後不良・・・何故、何故、何故、の朝でした。平成23年3月1日に入厩し、計った様な丸3年・・・本来馬主さんの牧場で余生を送る予定が、年齢的に遠距離輸送の心配もあり、縁有って当牧場へ・・・・・・その日の感動が昨日の事の様に甦りました。

 馬運車を降り立った時の堂々の姿。強そう!という第一印象でした。仲間たちが入れ替わり、立ち替わり挨拶に近づいてきて・・・それは運命的出会いの様に、芦毛のメイフィールド君と意気投合・・・依頼3年間、一度も離れず、毎日毎日仲良く暮らしました。馬房は勿論お隣同士。帰厩の際も、一緒でないと大騒ぎ、時にはそのまま2頭で同じ馬房に入ってしまう様な仲の良さでした。大人しかったメイ君も次第に男らしくなり、新入君が入ってくれば、体を張ってベルベットさんを守る、そんな微笑ましい光景も見せてくれました。嫌いだったのは注射・・・定期的に行っていたリウマチ治療の注射の時の蹴りの強さは天下一品で、やはりこの蹴りで、牡馬をも打ち負かしてきたかと、彼女の栄光を彷彿させる蹴りでした。

 平成4年、4歳で本格化した彼女はエリザベス女王杯優勝で実力を証明。以後鳴尾記念、日経新春杯、阪神大賞典等、長距離路線で大活躍。引退後は繁殖として生まれ故郷に戻り、生涯10頭の子を生み、育てました。姉は桜花賞馬リーゼングロスという名牝で、その黒い魅力的な馬体はファンの心奥深くに、しっかりと記憶を刻み付けました。そして、この思いもよらぬ出来事に、うろたえ、悩み、苦しむ人間たちを横に、女王ベルベットさんの姿勢は、それは気丈で、毅然とし、神々しくさえあり・・・・・・女王は最後まで女王らしく、美しい姿のまま、逝きました・・・・・・。

 日高では、生まれ代わりの様に、彼女のお孫さんが産声をあげたそうです。どうか順調にと、祈るばかりです。そして遠方から彼女に会いに訪れてくれた方々には、もっと、もっと、穏やかに遊ぶ彼女の姿を見ていただきたかった・・・・・・叶わぬ願いとなりましたが・・・・・・今は、私共に本当の強さ、凛々しさを見せてくださり、沢山の尊い想い出を残して下さり、ただ感謝の気持ちです。馬主さんが悲しみを堪え、「ベルは立派に天寿をまっとうしました」と語って下さったお言葉が胸にしみました・・・。女王ベルベットさんには、どうか天上では天馬となって、これからも輝き続けて下さる様、一同、祈念致して居ります。
ベルベットさん、馬という生きものの賢さ、立派な姿を見せて頂き、有り難うございました。どうか、どうか、安らかに。  
                                                                      合掌


タケノベルベット エリザベス女王杯優勝! 来る日も来る日も仲良く暮らしたベルちゃんとメイ君。
いったい、何を語り合っていたのでしょう、
とても知りたいです。
急に走り出したメイ君を心配そうに見守るベルちゃん。 仲良く併走。それは美しい走りでした。
生まれたばかりで厩舎内を元気に駆け回るマテオ君に、
優しく声をかけ、見守る温かい眼差し。母親のお顔でした。
美しかった横顔